2019.5.11 春の小川を観察しよう!

 

春の小川

五月の落雷の後は山からの強風が吹き、ヤマセが吹くそうです。2-3日強風が吹いていたので心配しましたが、穏やかな天候と風で、ポカポカと池の生き物や植物を観察する絶好の日でした。足湯に、お抹茶席にお日様と春をのどかに楽しむ場も設けてみんながくつろぎ楽しむことができました。とっても大好きな時間でした。

バックミュージックはまさに、『春の小川』で、情景も子どもの姿もまさに歌のままの一時でした。

『春の小川』 作詞:高野辰之 作曲:岡野貞一

春の小川は さらさら行くよ
岸のすみれや れんげの花に
すがたやさしく 色うつくしく
咲けよ咲けよと ささやきながら

春の小川は さらさら行くよ
えびやめだかや 小ぶなのむれに
今日も一日 ひなたでおよぎ
遊べ遊べと ささやきながら

地域の知識の伝承

まずは駐車場に集合し挨拶してスタート!

本日の先生は、春の小川プロジェクトの皆さんです。

地域の方が人生をかけて培ってきた知識を子ども達に惜しみなく伝えてくださいました。

10年かけて自らの手で作り上げてきた小川の公園(ビオトープ)での学びは、今年で3年目となります。

先生たちの温かい眼差しと、何を聞いても答えてくださる喜びが子ども達にあふれていました。

「先生これはなんですか?」という問いがたくさん出ました。

教科書や図書室では得られない本物と出会う喜びは、教える先生方にとっても、子ども達にとっても笑顔たっぷりの素敵な時間となりました。

 

すがたやさしく 色うつくしく♪
咲けよ咲けよと ささやきながら♬

危険な植物もありつつ、小川までの道のりには春の野花がたくさん見られました。

ツタウルシ(在来種)

これだけは触らないでね。触るとかぶれて痒くなります。

ヘビイチゴ(在来種)

これから赤い実がなりますが食べれません。毒草ではなく、実は食べることもできますが、まずくて食べられないそうです。ヘビが食べるイチゴと考えられていたことや、このイチゴを食べる小動物をヘビが狙うこと、ヘビの出そうな場所に生えることなどから、「蛇苺」と呼ばれるようになったそうです。確かに前道路にヘビがいました!草地に手を突っ込む時はいきなりではなくヘビを驚かせないように棒などで合図してからにしましょうね。

ハルガヤ(外来種・ヨーロッパ)

明治時代に牧草として導入され、春に咲き、甘く、よい香りがするため、バニラグラスとも呼ばれ、芳香を利用するハーブとして扱われているそうです。次回香りを確かめてみましょ!

ムスカリ(外来種・ヨーロッパ)

耐寒性が強いために作りやすく、色とりどりのチューリップやスイセンの間を、鮮やかな紫青色のムスカリが川の流れのように配置されているオランダのキューケンホフ公園から人気となり家庭でもよく植えられている花です。語源はムスク(じゃ香)で、マスクメロンのような香りがあるそうです。これも次回嗅いでみなくては!

イモカタバミ(外来種・南米)

イモのような塊茎で増えることから『芋片喰』と名前がつきました。初夏から夏にかけて道端 、花壇や生垣の隙間に生い茂る濃桃色の五弁花を咲かせ多年草です。

芝桜(外来種・アメリカ)

性質がシバに似ていて、サクラのような花を咲かせることから。芝桜の花言葉は、厳しい環境でも負けない力強さ「忍耐」「希望」等があり、東北にぴったりな気がします♪

ハルザキヤマガラシ(外来種・ヨーロッパ)

麦に紛れて世界中に散らばった植物、外来種ワースト100にも入る侵入植物らしいですが、可愛らしい色と花は菜の花のようです。

オオイヌノフグリ(外来種)

在来種のイヌノフグリが外来種に駆逐されてほぼ絶滅状態。犬の陰嚢・睾丸に似ていることから、在来種よりも大きなイヌフグリという意味で日本植物学の父と呼ばれる牧野富太郎博士が命名したそうです。少しかわいそうな名前なので、瑠璃唐草や天人唐草ともいわれます。牧野博士は、小学校中退で、東大で研究、教鞭をとり理学博士になった人で「雑草という草はない」と名言を残しました。https://hanasjoho.com/archives/72

こうして見ていくと、子どもたち一人ひとりに名前と個性があるように、野の花にも由来や個性があって面白いですね!野道を散歩しながら、見つけた草花の話ができるようになりたいと思います。

ヒメオドリコ草(外来種・ヨーロッパ)

在来種の踊子草(オドリコソウ)によく似ていて小振りなので「姫」の名がつけられました。よーく見ると小さな花が見られますよ。

カキドオシ(外来種・ヨーロッパやアジア)

開花後、垣根を通り抜けるほど伸びていくことから、「垣根通し」と呼ばれ、今では「垣通し」となりました。葉っぱを「銭」に見立て、葉が茎に連統してついていることから、別名の連銭草(れんせんそう)の名が付いたそうです。花の茎や葉が十分となる4~5月に株元から採取し、陰干しにしたものが生薬「連銭草(れんせんそう)」。煎液は腎臓病や糖尿病、腎臓結石、膀胱結石、小児の疳に用います。湿疹には濃い煎じ液を患部に塗布します。また、カキドオシには胆汁分泌促進や血糖降下作用があり、胃炎や酸性消化不良などの消化器系疾患にも有効であると言われています。その他、カキドオシは壊血病の予防と強壮薬として用いられ、水虫やたむしには生の葉を何回も擦り込むと良いようです!湿疹、あせもには浴湯剤としてもいいそうです! https://www.pharm.or.jp/flowers/post_14.html

 

西洋タンポポ(外来種・ヨーロッパ)

子ども達は咲き誇るタンポポを競争してとっていました。あんなに沢山生えているのに、ひとつのタンポポを争ったりするところは子どもらしいというか、そうかと思えばタンポポをプレゼントしあったり、花束をプレゼントしたりする子ども達。ややこしく見えますが、「今」その瞬間の本当の気持ちを大切にしている子どもだからこその行動なのかもしれないですね。

日本タンポポと西洋タンポポの違いは、花びらの付け根にある総苞(そうほう)という場所の「総苞片(そうほうへん)が反り返っているかどうか」。西洋タンポポが総苞片反り返っており、実は自家受粉できるクローンなのだそうです。日本タンポポは総苞片が閉じていて、蜂等に助けてもらう他受粉をしなくてはなりません。だから西洋タンポポが繁殖力が強いので日本のタンポポの約8割を占めています。日本タンポポは、昔から環境の変わらない神社や田畑、雑木林に残っていることが多く、八戸の長者山神社や種差海岸で見られるそうですよ。探してみてください!

面白いなと思ったのが、環境に対する適応力は日本タンポポの方が強いのです。西洋タンポポは繁殖力は強いものの、クローンでしか増えないことは、急な気候の変化には耐えられず、他の植物が生い茂る夏には負けて育つことができなくなるそうです。一方で二ホンタンポポは、繁殖力は弱いですが、他家受粉によって多様な個体が生まれるので、寒さや厚さ、病害虫などの影響で一気に絶滅してしまうリスクが少なく、他の植物が生い茂る夏はじっと地面の下に根を張っています。

二ホンタンポポ セイヨウタンポポ
分布 局地的 日本全国
形状の違い 総苞片が閉じている 総苞片が反り返っている
繁殖方法 他家受粉が必要 受粉せずに種子を作れる
種の量 少ない 二ホンタンポポの倍以上
種の大きさ&重さ 大きく重い 小さく軽い
開花時期 春(稀に冬にも開花) 一年中開花する
環境適応力 強い やや弱い

https://inakasensei.com/japan-dandelionより

日本タンポポに日本人を重ねてしまうのは私だけでしょうか?ちょっと誇りをもって日本人と日本タンポポを応援したくなりました。

バジルとバーミキュライト

こちら植物ではなくてお馬さんの名前、ハーブ由来のしゃれたお名前を持つバジル(白)、バーミキュライト(茶)、カワヨグリーン牧場に伺う時には大きな声でよんでみてください。来ることもあるかも?子ども達一生懸命呼びましたが、ちょっと振り向いてくれただけでした。

     

春の小川に何がいる?

小川についた子ども達は、手に手に網をもって生き物がいないか探し始めました。こういう時の行動の早いこと早いこと!

  

少したつと、いろいろな生き物が見つかりました。「先生これはなんですか?」

コウイムシ(右が雄・左が雌)

珍しい虫を見つけました!
コオイムシは「子負虫」と書き、昆虫類では珍しく、オスが単独で子どもの世話をする昆虫として有名だそうです。
春から夏にかけて複数のメスが1匹のオスの背中に卵塊を産みつけ、70卵程度の卵塊を形成。オスは卵が孵化するまで世話をします。1匹のオスは1シーズンに最大8卵塊を保護。孵化した幼虫は5回の脱皮を経て1ヵ月半程度で成虫に。一部の新成虫はその年に繁殖可能になるが、大多数は翌年に繁殖を行なう。成虫・幼虫ともに巻貝を好むが、水生昆虫やメダカなども捕食する。ボウフラを捕食する天敵として、益虫(えきちゅう)の面も持つ。現在は31都道府県で絶滅危惧種に指定され、全国版レッドデータブックには準絶滅危惧種に指定されている。https://www.honda.co.jp/outdoor/knowledge/adventure/picture-book/kooimushi/

青森県でも最重要希少野生生物です!

http://jpnrdb.com/search.php?mode=rank&q=2&subn=&k=07&s=oda&pageID=8

トミヨまたはハリヨ(メス)

お腹の膨らんだトミヨのお母さんを見つけました。トミヨさんと呼びたくなる可愛い名前。

雄は川岸の水草などの枝に、植物繊維と腎臓から出す粘液によってゴルフボール大の丸い巣をつくり、求愛ダンスによって雌を誘うことが知られている。
また、雌が巣の中で産卵した後、雄が放精するが、雄は複数の雌を誘うと言われている。卵は7~10日で孵化するが、雄は仔魚が巣を離れるまで世話をする習性がある。

https://aqua.stardust31.com/togeuo/togeuo-ka/itoyo.shtml

お父さんが卵を守り育てることが多い生物は、出産の負担がとても大きくて、雄がそれをカバーするようにできているそうです。生物の基本は「繁殖」して世代をつないでいくこと。誰が子育てをするのかは「ゲーム理論」で説明ができるそうです。繁殖方法だけ調べてみても多種多様で面白いですね!人間の雄は数少ない子育てをする哺乳類だそうですよ。それぞれの家庭のゲーム理論によるでしょうが・・・。

「ゲーム理論」とは、相手の出方によってこちらの意思決定が変化するという理論で、子育てに関して言えば、
子どもの生存確率(オスが子育てをした場合・メスがした場合にどれだけ子どもが生き残るか)
生涯繁殖率(自分が子育てをすることでどれだけ生涯に子どもを残せるか)
新たな配偶確率(自分が子育てをせずに他の相手を見つけて配偶できるか)
が関係してくるという。

https://allabout.co.jp/gm/gc/198239/3/

また、とても面白そうな本を発見しました。昆虫の交尾行動を研究したもので、生物学を面白くわかりやすく書いてあるようです。したがるオスと嫌がるメスの生物学 昆虫学者が明かす「愛」の限界 (集英社新書)

「虫のオスにとってのモテの極意」は「アクティブ&マメであること」「アクティブになるタイミング」が重要とのこと。https://shorebird.hatenablog.com/

生物の繁殖や子育てについてもっと書きたいのですが、あまりに長くなってしまうためここで留め、次回本を読んでから抜粋し紹介したいと思います!

マツモムシ 

肢が異様に長くて、水中も泳ぐし、陸上も跳ぶ生き物を見つけました!マツモムシ!

アメンボも同様に水陸両用だそうです!

水面で仰向けに浮かび、長い後ろあしをオールのように使って泳ぐ水生カメムシで、池や沼に多く、水たまりにいることもある。水面に落ちた小動物などの体液を吸います。
不用意に手でつかまえると口で刺されることがあるので注意です!

http://kasenseitai.nilim.go.jp/index.php/%E3%83%9E%E3%83%84%E3%83%A2%E3%83%A0%E3%82%B7

他にも、カワゲラのヤゴ、ヨコエビ、ドジョウ、ヒル、タニシ、ヒメゲンゴロウ、アメンボ、カゲロウを見つけましたよ!

メダカやカエルの卵はもう少し後かな。

夏の蒸し暑い日で風のない夜には蛍も見る事ができる豊かな春の小川。

みんなが遊び疲れて帰った後は、かくれんぼして鳴くのを我慢していたカエルがコルルルルと歌って、蝶々が飛び回わる春の楽園のような景色を見る事ができました。

今度こっそり見に行ってみてくださいね。静かに観察すると、いろんな声や昆虫、植物の発見があるかもしれませんよ!

足湯でゆったりリラックス♪

今回寒さの心配もあり、足湯を設けていました。夏用のプールにストーブで温めたお湯を張ってタープの中にまあるく設置していたのですが、これが大人気!

おしゃべりしながら小さな足を入れて楽しんでいました。

足湯ってとてもリラックス効果や身体を温める効果が高いので家でもやってあげたいですが、お風呂にはいったほうが早いし楽だしでなかなかやれません。

こんな天気のいい日に素敵な場所で足湯なんて最高でした。

大人も入りたかったけど、入る隙がないくらい子ども達は楽しんでいました。

  

キビタキのお父さん見つけた!

南の方からやってきたばかりのキビタキを発見!

とても綺麗な色の雄があっちの枝にとまり、こっちの枝にとまりさえずっていました。先生曰く、こんなに観察できることはとても珍しいらしく、雄は卵が産まれると巣で守り役をするそうです。雌が餌を運ぶため、雄がウロウロしているということは南からの旅を終えてお腹がすいて餌をさがしているのだろうということでした。声もとってもかわいい鳴き声でした。

動物の世界って雄が綺麗な生き物が多いですよね。どうしてかなと思っていましたが、相手を選ぶ決定権が生物界では雌にあり、雄は沢山の雌と子孫を残すこと、雌は優秀な遺伝子を残すことが最優先事項だからの様です。

声よし、姿よしのオスは天に二物を与えられた羨む存在なのでしょうか?命の多くは他の命の食物になるという原則を考えてみましょう。生きのびられないことのほうが多いからこそ、命はたくさんの子孫を残そうとします。産むことが役割のメスは、そこにエネルギーを投資すべきで、目立つ必要はありません。誘ったり、なわばりを守ったりするなどの目立つ役割はオスが担うべきで、相手を選ぶ決定権はメスにあります。オスの美しい姿やさえずりはなわばり防衛に必要なだけでなく、メスがオスを選ぶ要素にもなっているのです。春が来るたびにオスがさえずるのは、メスに選ばれてペアになることができても、その関係は子育てとともに終わるからです。多くの鳥は一夫一妻で繁殖しますが、野鳥の世界は生存率が低いので、夫婦や親子の関係はその年の繁殖期だけなのです。

https://global.canon/ja/environment/bird-branch/photo-gallery/kibitaki/index.html

コルリも声だけが聞こえましたが、今回姿を確認することはできませんでした。

野鳥に昆虫、水の生き物、野花等豊に観察できるこの場所は遊具はないけれどとても素敵な場所ですよ。ぜひ一度おいでください。

  

花より団子

野花も愛で、生き物とも触れ合い、その後は大人も子どももも花より団子!

お抹茶と3色団子をお茶の先生が用意して野点してくださいました。

お茶の先生は、その日食べたくなる人も沢山いるだろうと予約数よりもかなり多く準備していてくださっており、終始ニコニコとお茶をたててくださり、お茶のおもてなしの心を感じました。子ども達からも大人気で、片づけての帰り際残った子ども達が手を握って離さず「先生また来てね。また来てね。」と先生しばらく帰ることができませんでした。

3色団子も花見の定番のお茶菓子で、ピンクが春の桜、白が冬の雪、緑がヨモギで夏を表し、「秋が来ない」「飽きがこない」と洒落をかけているそうです。

お花見は、もともと神様に豊穣祈願や感謝をする行事で、最初は梅の時期旧暦の3/3か4/8と決まっており、平安時代に風流な貴族が「桜」を好んで桜のお花見へと変化、今のように酒やご馳走を桜の下で楽しんだ最初の人は安土桃山時代の豊臣秀吉、江戸時代から庶民のお花見が広まったそうです。https://usable-idioms.com/1905

その時から人気の3色団子!時代は変わってもおいしそうに食べる子ども達の顔は変わらないでしょうね。

語源や由来、モノや生物の成り立ちはとっても面白いと大人になってから思います。教科書で知識だけ学んでいた時はそんなこと考えませんでした。

東京オリンピックの年から学校での学び方が変わってきますね。知識重視から考える力の重視へ!暗記するだけの知識は面白くないと思います。自分で調べて考えて知識を使うこと、問題を解決して面白さを発見すること、人に伝えて共感してもらうこと。子どもと一緒にそんな学びをしていきたいですよね。

考える力を育てる時の3ステップが提案されていました。

1.単語で答えられる質問から聞く→答えに必要な知識を子どもと一緒に確認

2.子どもの発言に対して理由を聞く→考えを組み立てやすくする

3.子どもの考えに自信を持たせる→自分の考えが「違うかもしれない」と考えるのではなくてどんな考えでもすばらしいと教える

https://awesome-style.com/2018/01/10/asaichi-education/

もりのようちえんや自然楽校でも「どうしてだろうね?」「どうしてそう思うの?」「次はどうしたらいいかなあ?」と答えはなるべく子どもたちから出してもらっています。

答えがでるまでに時間はかかるけれど、突拍子もない答えが返ってくることもあるけれど、それ自体を楽しんで、みんなで子どもを見守っていけたらと思うのです。

ブログも長くて、活動報告以外のことのほうが多いじやないかと思う方も多いと思います。自分の興味関心もありますが、子ども達との関わりの中で豊な会話が一つでも増えたらいいなという気持ちで書いています。面白いと思うと子どもは自ら学ぶものです。そんなきっかけの一つにでもなればとても嬉しいです!話があちこちにとんでしまうことと長文はお許しくださいね。

次回、自然楽校では6月のデーキャンプを土日に計画中、もりのようちえんでは毎週火曜日無農薬自然肥料の畑づくりと自然の中で思い切り遊ぶことを続けています。面白いこと一緒にはじめてみませんか?

(おいらせもりのようちえん ブログ担当 まな)