2018.6.15 もりのようちえん平日開催に向けて ~森遊びと棒パン作り~

今週三八地域は梅雨入りしたのでしょうか、みんな冬のような装備でもりのようちえんに集合です。

モミジ苺は魅惑のフルーツ

 

駐車場についたらすでに何か活動している人たちがいました。

なんと、集まった人から「モミジ苺」がたわわに実る茂みに一心不乱でいちご狩りです。先週よりも良く育っていて、森よりも日当たり良好な道の脇の茂みがモミジ苺の宝庫となっていました。先週味をしめた子どもたちはどれだけ沢山とれるか競争をしていました。

モミジ苺の上に「桑の実」!

保育の先生と五歳の女の子が発見しました!まだ赤い桑の実ですが、きっと来週には食べごろに黒く色づく予想です。五歳の女の子の家の横にも以前桑の木があったらしく、とても美味しい実だと教えてくれました。桑の実をもいで食べたことがないので、来週どんな味がするのか楽しみです!

朝の挨拶は、モミジ苺の収穫をなんとかきりあげてやりました。

まだ収穫し足らずモミジ苺の虜となっていた子どもたちは、さらに森へ収穫に出かけました。

一歩踏み出す瞬間に立ち会う

 

一番「モミジ苺」の虜となったのは二歳の女の子、先週は森が怖くて一歩も歩けないくらいだったのですが、今週はイキイキと森へ入り、モミジ苺を口に運びながら「まだとる」「まだたべる」「かえるのいや」と二語文で一生懸命自分の意思を伝えていました。

彼女の順応と成長ぶりにお母さんも嬉しそうでした。子どもが一歩踏み出す瞬間は、繰り返しの日常の中ではキラリと輝く嬉しい瞬間です。先週からの一週間、初めてのもりのようちえんで体験した出来事を一生懸命家族に話していたそうで、とても彼女の中では楽しい出来事だったようなのです。先週は話さず、動かずじっと見ている時間が多かったのですが、大きな刺激があったのだと思います。

すぐに行動する個性も、じっと観察する個性も、一人ひとりみんな違うことが楽しくて面白いですね!

モミジ苺の他にも森で沢山の収穫がありました。棒パンの材料にする太い枝、うるい、ふき、黒く熟した桜の実、赤く熟したスグリの実。

ベースに戻って食事の準備を始めた時に、偶然ピクニックに来ていた知り合いの親子、せっかくなので皆一緒に一緒にお昼を囲むことになりました。

命に寄り添うことを大切にしたい

 

その後すぐちょっとした事件がおきました。五歳の女の子が偶然炊事場の下で、冷たく固くなった小鳥を発見したのです。子ども達は皆で森に埋葬しようと食事の準備はそっちのけで出かけてしまいました。みんなで手分けしないと食事の準備も大変で投げ出すことはよくないことだけど、小鳥の命に寄り添うことを大切にしたいという子どもたちの選択を見守ることにしました。

年長のお姉さんが穴をほって、モミジ苺をそっと横に何粒か置き、葉っぱのお布団をかけ、土を丁寧に盛って埋めてあげていました。また来た時にお参りするそうで、墓標に小枝をさして、丁寧に見送っていました。年長の子どもたちは、自分たちなりに小鳥を見送ることができたことに安心してやり遂げた顔をして森を去っていきました。

埋葬している隣では、「モミジ苺」のファンの二歳、再び苺狩りです。今は自分の欲求や感情を大切にする時期だから、それはそれでいいと思うのです。よほどお気に入りの味になったようです。お友達になった三歳の女の子もドキドキしながら一緒に味わっていました。

ベースにもどり、少し遅い昼食の準備開始です。火を起こして、棒パン用の木にアルミを巻いてクルクル生地を巻き付けました。どんなパンができるかな??

やってみせ 言って聞かせて させてみて ほめてやらねば

 

木の棒を持ったらチャンバラや棒パンレンジャーになったりと、楽しそうな遊びも始まりました。棒パンを作ってみてわかったことは、火の加減は強めがいいこと、棒に巻く生地の位置は木の真ん中がいいこと、厚さはやや薄めにと、うまくやるにはコツがありますね、次回への課題もできました。子ども達はできるところに参加し、横でみたり、遊びにいってはまたパン焼を焼き、焼きあがるのを心待ちにウズウズしていました。

「やってみせ 言って聞かせて させてみて ほめてやらねば 人は動かじ」

大人が一生懸命やって見せている姿、火は危ないからこう持つんだと教える姿、やらせてみて上手にできているよと声をかける様子から、ふと山本五十六さんの詩を思い出しました。

海軍の連合艦隊指令長官として書かれた詩ですが、大人も子どもも「育つ」「育てる」の根っこは一緒ですね。

詩には続きがあります。

「話し合い 耳を傾け 承認し 任せてやらねば 人は育たず」

「やっている 姿を感謝で 見守って 信頼せねば 人は実らず」

子どもの話に耳を傾けて認めてあげること、自分でやる姿を感謝で見守ること、親として少し耳が痛いです。忙しい時はじっくりと聴くことはできていないし、何かできるようになったらそれが当たり前となり感謝はしていないことが多い。

せめて自然の中でゆっくりと過ごすこの時間だけは、意識して「育つ」「育てる」ことを皆で協力できたらと思います。

この負けがきっといつか大きな財産になる

 

棒パンが出来上がった人からサンドイッチにする予定でしたが、棒から直接かじるのが面白くて美味しいようで、子どもたちはかぶりついていました。一番最初に出来た子は、みんなからパンをねだられるので棒パンの枝にまたがり森に逃げて、小さい二人はパンのあとを追いかけていく姿はなんだか可愛かったです。小さい二人は、後で焼けた自分のパンをお姉ちゃんに戻すと約束を交わしてパンを支給してもらっていました。

この一つしかないパンのように、もりのようちえんの中で「ものの取り合い」は結構おこっています。

どうすれば貸してもらえるかな? どうしたら分けてもらえるかな?

その時は、子どもたちなりに交渉する方法を考えてもらっています。

大人はいくつか例をだすことはあるけれど、考える時間も大切にとります。

まだ年端もいかないので上手く交渉できることは少ないけれど、大きくなった時にこの経験はきっと役に立つはずと大人はなるべく見守ります。

親ではない誰かがなるべく間にはいって子どもの気持ちを整理してあげます。

話は飛びますが、スラムダンクの新装再編版が本屋さんに並んでいますね!スラムダンクの世代だったので大興奮です。「あきらめたらそこで試合終了ですよ」は有名すぎる名言ですが、「負けたことがあるというのが、いつか大きな財産になる」と山王高校の堂本監督が生徒たちに伝えるシーンも個人的には印象に残る名シーンです。

よくぶつかるのは五歳と三歳、負けてよく泣くのは三歳、我慢してよくいじけるのは五歳、遠くからですが「この負けがきっといつか大きな財産になる!!」といつも二人を見守っています。

棒パンのサンドイッチとスープがようやく出来て、少し遅めのお昼ご飯。棒パンは少し半焼けのとこもあるけれど、スープは少し冷えちゃったけれど、みんなで一生懸命作ったものの味はやっぱり美味しい!

食卓には、採取した実も並び、デザートに森の恵みも手に手に食べていました。ただ、桜の実はすごくすっぱかったようで、一度口にしてみんなすっぱーい顔をしていました。

子どもたちは食事が終わったらすぐ夢中で火にマキや松ぼっくりをくべていました。お相撲もとっていました。あとは、葉っぱの匂い比べ!葉っぱによってすごく匂いが違うんです。当たり前のことですが、実際拾って嗅いを比べてみると面白いですよ。

子どもの質問に対する答えにはユーモアや優しさをプラス

 

飛び入り参加してくださった方がタオライアーの奏者だったので、子どもたちに桜の木で作ったライアーの音色と、演奏の体験をさせてくださいました。森で聴くライアーの調べはとてもきれいでした。

「この演奏どこまで聞こえるかな?保育園のお友達のところまで届くかな?」

「気持をよーく込めて弾けば、きっと届くよ」

ライアーの音色と同じように、なんて柔らかくて優しい回答だろうと思いました。

子どもの質問に対する答えにはユーモアや優しさをプラスしたいものです。

ライアーを木にあてて、木に反響する音を耳を木肌に当てて聴く体験もさせてもらい子どもたちは大喜びでした。本当に素敵な体験をどうもありがとうございました!!

子どもたちはとても嬉しかったのでしょうね。帰られる時には皆駐車場まで走っていって、「また来てね」とぎゅーっとハグしてもらっていました。

家族以外の人にたっぷりと甘える

 

片付けもすべて終わって帰る準備が整っても子どもたちの遊びは尽きる事がありません。

後は帰るだけなので、大人も子どもも自由に「遊ぶ」ことをゆっくり楽しむ時間にもなっています。

今日とてもいいなぁと感じたことがひとつ。

「家族以外の人にたっぷりと甘える場があること!」

家族以外にも大切に関わってくれる人が沢山いる場があることは、子どもの助けにもなるし、親の助けにもなる。

子どもの新しい一面を発見してくれたり、ケンカの時も違う解決方法を教えてくれたり、親がすぐ手を出しそうなところを一歩引いて見守ってくれたり。

自主保育だからこそ親も子も育ちがあるこの場はとてもいいなぁと思いました。

このゆっくりとした時間の中で、子どもたちの今日の行動やその裏にある感情、どういう風に関わっていったらさらによくなるかを振り返ります。

決して振り返りを行おうと決めたわけではないけれど、この時間がとても貴重です。

大ゲンカしても最後に分かれる時に「また遊ぼうね」と何度もタッチして、親も子もみんな手を振りあうのは、楽しいことはもちろん、嫌なこともお互い納得して気持を共有できているからかなと思います。

 

追伸

 

最後にみんなで手をつないでジャンプして遊びました。せっかくだから集合写真をジャンプで撮ろうとテイク5までやりましたが、これがなかなか難しい。一番よい写真は着地した瞬間か離地する瞬間か?次は青空のもと皆でジャンプした写真を撮ろうねと、みんなジャンプの練習をしてくる約束をしました。

でも、この写真なんだかいいでしょ?

 

(おいらせもりのようちえん ブログ担当 まな)