2018.7.8 キコリさんと森で遊ぼう! ~北欧の環境教育プログラムLEAF体験会~

 

森楽しかったー!! またやるぞ!

「キコリさんと森で遊ぼう」と企画したイベントに小雨降る中、色とりどりのカッパと長靴で12組もの親子が参加してくれました!

今回は、おいらせもりのようちえんスタッフと、青森フォレストワーカーズさん、ハッピーチルドレンさんの研修もかねての、北欧の環境教育プログラムLEAFの体験会です!

様々なバックグラウンドの研修生が、北欧の環境教育プログラムに基づいて15分ずつのワークショップを森の中で実施しました。

「森楽しかったー!」 「もっと長い時間やりたかった!」

お布団に入って今日を振り返った時や日中思い出すように子どもが言ったと数名の親御さんたちが嬉しそうに報告してくださいました。

指導者講習の場所だったので、講師の先生から伝えられた子どもと森で遊ぶ時のアドバイスが親としても役立ったと嬉しい声も頂きました!

みなさんの熱いリクエストにお答えして、8月5日に青森LEAFのローカルインストラクターで「きこりさんと森で遊ぼう」第二弾を計画中です!

どうぞお楽しみに!

※「きこりさんと森で遊ぼう」や平日もりのようちえん等イベント申し込みはHPの申し込みフォームよりお願いします♬

https://reserva.be/moriyou#main_contents

LEAFとは

1981年北欧の林業業界が後継者を育てる教育としてスタートしました。しかし、森林産業だけでなく、持続可能な未来のためには、次世代の消費者となる子どもたちへの教育が不可欠です。そこで、北欧から始まり、今では世界26カ国と国を超えて環境教育を行っています。日本は2009年に仲間入りして、東北三県ではこのおいらせ町での研修が初となります!

「持続可能性」ってなんでしょう?

それは、次の世代も100年後も今の私たちと同じように幸福であること!今問題となっていることは、解決改善して次の世代へバトンタッチすること。

「次世代の消費者」ってどういうことでしょう?

今は小さな子どもたちも、お父さんやお母さんになる日がくる、将来総理大臣になる人もいる、政治家、先生、企業に勤める人、自分で仕事を起こす人、小さなこどももいずれ社会的に大きな決断を下す人になり、その次の未来を選択する人になる。消費者というのは、次の未来を選択・決断する大きな力を持つ。その時に、自然環境に直に触れた体験や経験から得た知識があるかないかは大きな違いがあるということ。

LEAFでは幼児期から大人まで、森や自分たちを取り巻く環境について考えてもらい、行動に移すことができるように、6つのステップに基づいてプログラムを組んでいます。幼児期から森で環境について触れることは、持続可能性を考え賢い選択のできる力を持つことにつながります。

自主性と主体性の違いは何でしょう?

LEAFのプログラムでは、正解を求めることや学習したことをマトメることはしません。

自主性は、与えられた課題をまじめに解決すること。主体性は、自ら課題を見つけ解決すること。課題を解決するという一点においては同じですが、大きく違いますよね。LEAFでも、もりのようちえんでも「こどもの生きる力」主体性を伸ばすことを大切にしています。

先日、子育て支援の幼児教室に参加しました。小さな子どもたちと音とリズムを楽しむとてもいい内容でした。でも、半分の子どもは違うことに興味をもって一生懸命に好きな玩具に手をだす子、お外を見に行き出たがる子、動かず観察する子もいました。お母さんたちは与えられた課題を一生懸命子どもにさせようとアレコレ手を尽くし困っている方もいました。もちろん、それは音楽への入り口には違いなく、とても素晴らしい教育だと思いました。でも、今は音興味を持てない子の違う興味の対象に付き合うことも同じくらい大切ではないかと思うのです。

幼児教室等で全員が同じことをしなくてはならないような空気に親御さんが飲み込まれていることに個人的に違和感を感じるのです。就学前の時期こそ、主体的にとことん遊ぶことを大切にしてほしい。自然の中では、たくさんの虫や植物、空気や天気さえも、子どもの興味に赴くままにそこにあります。どんな小さな子でも主体的に虫を観察し、草をとったり、実を食べたりするのです。自然の中の自由な空間には教えなくてはならないものはありません。気づくきっかけは投げかけますが、すべて子どもの主体性に任せています。正解のない自由な場所です。

主体性を育てるためには、五感を使って体験し、考え、気づいたことを人に伝える、人が話していることを良く聴くこと。子どもは不思議に思えば、自分で考えて調べて深めていくことができます。そんな体験をこれから沢山一緒に自然の中で行いたいと思っています。

※LEAFについてもっと詳しく知りたい方はHPをご覧くださいね。http://www.feejapan.org/leaf/

危険に対する備え

参加してくれた親子は、みんなドキドキワクワクした顔で森にはいってきました。

挨拶をしたら、活動を始める前に、森での危険に対する備えについてのお話しです。

1.ツタウルシ

果敢な研修生がゴム手袋で実物を近くで見せてくれました。触るとかぶれたり腫れたり大変なことになります。長いと一年もかゆい症状が続くそうです。どの森にも必ずあるので触らない、踏まない、近寄らない。

実際はゴム手袋も浸透するほどの強い力を持つ油脂成分を含んでいますので決して触らないことが一番です。もしも、触ってしまった場合の対処法が詳しく記載されたHPがあるので紹介します。対処法で特に覚えていてほしいのはムヒは塗らない、油脂成分なので水は使わず石鹸で洗いお湯で流す、掻かないで医療機関へ。

ツタウルシ・ヤマウルシによる「ウルシかぶれ」の症状と8つの対処法 https://inakasensei.com/urushi-8tips

 

蜂は低い所に目線がいかないので、「石」のようにしゃがんで騒がず動かないこと。

小さな声で「蜂だよー。そーっとしゃがんで石になろう」と声を掛け合ってください。

スズメバチの出来かけ巣も発見しました。蜂は中にはいませんが、安全に処置済みです。こんな巣を見かけても触らないようにしてくださいね。

 

3.蛇

この森はヘビが生息しています。ヘビに咬まれないようにするには、近づかない、手を出さない、手に取らない!

茂みや藪の中はなるべく避けて歩き、ヘビが住んでいそうな穴や大きな石、倒木を触る時には確認してから手を入れること。

言葉を森の中で探そう 

「チクチク、つるつる、ザラザラ、ごつごつ、なんだこれ、面白い、綺麗、美味しそう、いい匂い」

一つ目のプログラムは、自分で決めた言葉を森で見つけてこよう!

研修生が考えた楽しい言葉の中から一つ選んで、または自分で言葉を考えて、森でその言葉に合うものを見つけてくる面白いプログラム。
集めてきたモノは、フキの葉っぱの上にみんなコレクションしました。
  

選んだ言葉から森から探してきたモノたち。同じモノもあるけれど、テーマの言葉は違ったりと、その子それぞれの解釈が面白いと感じました。

面白いを選んだ子のお母さんは、実は心配しながら森に入ったそうですが、その子が選んだ「面白い」はお母さんもびっくりするほど面白かったと感想をお聞きしました。

子どもの感性を信じて見守ると、こちらの想像を超えた発見もありますね!

一人ひとりに、どうしてそのモノを選んだのか、どこが言葉とマッチしていたのか皆で共有します。LEAFでは、この共有という時間とても大切にしていて、時間延長してでもすべての子に発言することを、人の話を聴くことを大切にします。それが成長につながるから。

「どう思う?」という問いかけは、その問いに答えがなくても、子どもが自ら考えるというプロセスを経ただけでも良いのです。

親子の会話の中で良い問いかけをして、楽しく過ごす時間を是非つくってみてください。

この言葉遊びは、フランス語でオノマトペ、日本語で擬声語(擬態語+擬音語)とも言われ、音や様子・動作・感情などを簡単に表します。

谷川俊太郎さんの「もこもこもこ」、元永定正さんの「がちゃがちゃどんどん」はオノマトペのみで表現された面白い絵本で子ども達は大好きです!

先日キャンプでおにぎりを食べていると一人が「ベタベタの手」と言いました。他の子どもたちが面白がって「ベタベタママ」「ベタベタくるま」「べたべたうんち」「べたべた太郎」等、思いつくままにオノマトペを楽しみ始めました。普段はベタベタとくっつくことのない言葉とくっつけて想像して遊んでいるのです。

子どもたちの中で身近で楽しい言葉遊び。言葉をみつけたり、言葉を考えたり、何も道具がない時でも、言葉は子どもと一緒に楽しむ道具のひとつになりますよ!

森で絵を描こう

一人づつ白い紙が渡されて、森の木や植物に紙を当てて上からクレヨンで色塗りします。すると葉や木の皮の形が出てきて面白い絵が描けるのです。

選んだ対象には、何歳くらいでどんな名前なのかも考えてもらいました。

短い時間でしたが、みんな色とりどりの紙をもって再び集まってきました。

年齢が様々だったので、発表をうまくすることはできなかったけれど、輪になって全員の作品を全員でぐるーっと回して鑑賞しました。子どもは自分に注目してもらうことが好きです。一人ひとりが主役になれるように共有の仕方を工夫することも学びました。

森の生き物を作ろう

「森にはどんな生き物がいるでしょうか?」

「カーカー」

ちょうどカラスが鳴いたので、元気のいい女の子が手をあげて「カラス!」と大きな声で叫びました。

その後は、「パンダ」「クマ」「さる」思いつくままに子どもたちが叫びます。

「では、森で生き物を探してきましょう!」

実際に森にパンダも熊もいないのですが、森で集めた材料で好きな生き物を表現することにしました。

森に慣れてきた子どもたちは、我さきにと森の中に走り去っていきました。

 

森の途中、お父さんとフキでかくれんぼしている女の子や、カメレオンを発見しました!

どんな動物探してきたかな?

最後はみんなで共有の時間です。発表があるたびに歓声があがりました。ライオン、虎、犬、カタツムリ、フラミンゴ等々、世界各国の動物から昆虫から表現されていました。

講師の先生からのアドバイスとして、最後に森に返す時、循環する仕組みも伝えられるとよりよい環境教育になることを学びました。子どもは良く草花をとって遊びます。親としては、花瓶に飾ってあげたい気持ちですが、すでにぐったりしている草を持ち帰るわけにもいかず、土に戻してあげようねと声をかけたことのある方は沢山いるのではないでしょうか?

整地された公園や道端では難しいけれど、森では土を掘ってみれば循環の仕組みがよくわかります。土を掘り返すと、腐った落ち葉がミルフィーユのように重なっていることが観察できます。植物は少しずつ時間をかけてまた土に戻っていくと知ることは環境教育のとても大切な要素です。

   

森のお家を作ろう

最後は、幼児チームと小学生チームに分かれて森にある材料でお家を作るプログラム!

「みんなの住んでいるお家は何でできていますか?」

「コンクリート」「アルミ」「木」「壁」

いろんな声が聞こえてきました。

実は日本は古来から木の家づくりが発達した国です。みんなの知恵を合わせてお家をつくってみましょう!

テーマは「子ども一人が入れるくらいの大きさのお家」です。

骨組みになるような大きな木をエッサエッサと運んで、小学生チームは大人の手伝いはほとんどなしに自分たちで考えて、作っていました。

幼児チームは骨組みを大人が手伝って、子どもたちがフキの葉を絨毯と屋根に被せて、さっそく何人入れるのかとお家に入っていました。なんと5人も入れたんですよ!

短時間の中よく立派なお家が作れました。とても面白いプログラムで、みんな時間が足らないことだけが心残りのようで、次回は時間をかけて大きなお家つくってみましょうね!

研修生が子どもの家の傍ら何か作っていました。これはなんでしょう?

「豚の丸焼きをつくる機械!」

実は、おこめを干す台もこうやって木を組んでつくっていると紹介してくれました。

家やお米、自分の身近なものに木は沢山活用されていますね。他にどんなものに使われているかな?

考えるというプロセスを意識すると、子どもとの時間が深く楽しくなる気がします!

最後に、写真の上手な研修生がとってくれた森の植物を紹介します。雨上がりの今日、いつにもましてキラキラしていました。森でみかける植物も昆虫も実はとっても綺麗なのです。人間がどう頑張っても作り出せない美しさが自然には沢山あります。「綺麗なもの探そう」と子どもと足を踏み入れてみるのもいいかもしれません。「綺麗」の定義も十人十色。

北欧では学校に森の日という日があつて、一日授業を森で行うそうです。理科に、国語に数学に、社会、美術に何でも!そんな一日素敵ですよね。

(おいらせもりのようちえん ブログ担当まな)